2019/06/26

フランス語を「味わう」ためのひと時【翻訳強化グループレッスン】

Bonjour à tous ! アンサンブル講師のHibikiです。


僕はSkypeのマンツーマンレッスンの他に、Zoomを用いた
「翻訳強化グループレッスン」も担当させてもらっているのですが、
今回は、このレッスンがどのような意図や目的で行われているか、
レッスンレポートという形でご紹介したいと思います。


さて、先日の620日に行われた翻訳強化グループレッスンでは、
世界中で知られているサンテグジュペリの名作
星の王子さま (Le Petit Prince) からの抜粋を使用しましたが、
本編に入る前の、作者が彼の親友に宛てた “献辞” にあたる部分を選びました。


À Leon Werth.

Je demande pardon aux enfants d'avoir dédié ce livre à une grande personne. J'ai une excuse sérieuse : cette grande personne est le meilleur ami que j'ai au monde. J'ai une autre excuse : cette grande personne peut tout comprendre, même les livres pour enfants. J'ai une troisième excuse : cette grande personne habite la France où elle a faim et froid. Elle a bien besoin d'être consolée. Si toutes ces excuses ne suffisent pas, je veux bien dédier ce livre à l'enfant qu'a été autrefois cette grande personne. Toutes les grandes personnes ont d'abord été des enfants. (Mais peu d'entre elles s'en souviennent.) Je corrige donc ma dédicace :

À Leon Werth quand il était petit garçon.


上記のテキストを、参加者には事前にお送りし、
レッスン当日は各自の訳文を発表していただきました。

この本を読まれた方ならおわかりになるように、
『星の王子さま』では大人は “愚かなもの” として描かれます。

Les grandes personnes ont toujours besoin d’explications.
「大人は説明してやらないと何もわからない。」

だから、そんな “愚かな大人” であるレオン・ヴェルトに
この本を捧げることを、“かしこいこどもたち” に謝っているのです。

(もし、『星の王子さま』は読んだことがあるけれど、
この献辞を読み飛ばしてしまっていた、という方がいたら、
大事な箇所なのでぜひ、もう一度読んでみてくださいね。)

さて、今回のレッスンを終えて面白かったのは、 
« J’ai une excuse sérieuse. » の訳し方です。

テキストを見てみると、その次の文には 
« J’ai une autre excuse. »、さらにその次には 
« J’ai une troisième excuse. » とあるのがわかります。

一つ理由があって、もう一つあって、そして「三つ目の理由は…」、
この箇所が、参加された生徒様は、訳すのに苦労されたとのことでした。
最初は「一つ、もう一つ…」だったのに、いきなり「三つ目」、
と言ってしまっていいのだろうか?

そして皆さん、日本語ではこう言うだろうか?と考えた末、
それぞれ独特な解決法を編み出していました。

一人の方は、「一つ、もう一つ…」と訳し、« une troisième excuse »
「最後の理由」と訳されていました。いきなり「三つ目」は唐突なので、
「最後の」と言い換えたのです。とても上手い落としどころを見つけられたな、
と思いました。

そして別の方は、「三つ目」は残したまま、なんと最初の 
« J’ai une excuse sérieuse. » の訳文の冒頭に「三つの理由があって、一つ目は…」
と書き換えたのです!そうすることで、最後の「三つ目」が自然になります。

さて、こういった「書き換え」「加筆」“禁じ手” なのでしょうか?

翻訳には「直訳」と「意訳」があると言われ、「直訳」の方が原文に忠実で、
「意訳」は自然で読みやすいけれど原文が少し崩れてしまう、
というイメージがあります。

では、さらにその「意訳」を超えて文を足したり引いたりすることは、
翻訳をする上で“やってはいけない” ことでしょうか?

実は、そうでもないのかもしれません。
毎回、レッスンの中でも申し上げているのですが、
翻訳はしばしば訳者の「解釈」といえます。

つまり多かれ少なかれ、その人自身による「創作」でもあります。
ということは、どんなテキストでも、100%の「直訳」は不可能なんですね。
コピー&ペーストするみたいに、“まったく同じ文” を違う言語で作ることは、
土台無理なのです (日本語とフランス語のように離れた言語同士であればなおさら)
だとすれば、思いっきり「意訳」して、その言語を母語としている
相手に読みやすい噛み砕いた翻訳があってもいいはずです。

ただし、「意訳」は良くても「誤訳」はダメなので、
原文をよく読む必要があります。精読したうえで、これはこうだ、
と自分の中で意味の根っこをつかまえることが出来れば、
あとは必要に応じて変形することもできるでしょう。

とはいえ、やはりあまり大きな変更、つまり原文に書いていないことを
加筆したり、逆に書いてあることを消したりするには、慎重な判断が要るし、
“なぜそうしたのか” という問いに答えられないといけません。

逆に、あえて「直訳」に寄せてみる、というのも一つの手です。
先ほどの例で言えば、原文通り「一つ、もう一つ、そして三つ目は…」
と訳してしまうのです。それによって多少読みづらくなったとしても、
よほどでなければ意味は通ります。そしてあえて「直訳」にすることで、
“適度な違和感” を残すことができます。

これはあくまで「翻訳」で、元はと言えばフランス語という
外国語で書かれた文章だ、という事実を読み手がわかっているのであれば、
なるほど、フランス語ではこう言うのか…というように、日本語の中に 
フランス語感 を紛れ込ませることができるのです。

最後に、翻訳を行う時は、できれば “誰が読むのか”
意識した方がいいでしょう。相手が(上記のような配慮ができる)大人であれば、
そこまで親切にならず「直訳」に近い文体で “適度な違和感” を楽しんでもらう。
相手が子どもなら、固い食べ物を噛みやすく細かくしてあげるように
適宜「意訳」して、とにかく日本語として伝わりやすくする、
などの工夫が可能でしょう。

ということで、長くなってしまいましたが、
6月20日のレッスンでは、参加者の訳文がそれぞれ個性的だったおかげで、
「直訳」と「意訳」について深く考えることが出来ました。
(改めて、ご参加くださりありがとうございました!)

翻訳に「正解」がないように、このレッスンにも正解はありません。
毎回、参加してくださる方の訳文が貴重な「教科書」になります。
興味のある方はぜひ、一緒に翻訳について考え、
フランス語の文章を「味わう」ためのひと時を過ごしませんか?

執筆 Hibiki

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2019/06/07

フランス語講師 Rudy先生 自己紹介

Bonjour !
フランス語講師としては、2017年より活動されているRudy先生は
穏やかで優しい雰囲気を持ち、生徒のペースに合わせて、
和やかにレッスンを運んでくれます。

Rudey先生のレッスンを是非ご受講くださいませ。


Rudy先生


経歴/三重大学にて言語学アシスタント(1年)
四日市市でフランス語家庭教師(1年)、東京の語学学校でフランス語講師(1年半)

学歴/リール第三大学にて日本語研究における修士号取得
および外国言語・文学・文明学(LLCE)の学士号取得

言語/フランス語(母語)、英語(C2)、日本語JLPT(N1)、スペイン語(A2)
得意分野/
文章読解、会話、テキストの翻訳、試験対策
趣味/スポーツ(卓球、バスケットボール、サッカー)、料理、読書、映画鑑賞
好きな休日の過ごし方/映画鑑賞、友人と過ごす
好きな食べ物/友人や家族との焼肉、餃子!
好きな飲み物/お茶、ビール(特に餃子と一緒に飲むのが好きです)、ウィスキー
嫌いな食べ物/




自己紹介、メッセージ/

Bonjour à tous ! 皆さんこんにちは、Rudyです!
僕は、ベルギーにほど近いフランス北部の街から来ました。4年前からフランス語講師をしていて、主に三重県と東京で教えていました。僕は日本文学や映画、そして日本語が大好きで、日本語は10年前から勉強しています!
僕は全てのレベルの生徒様をフランス語で教えるのが好きですが、生徒様が必要であれば、日本語もしくは英語で教えることも可能です!文法やテキスト読解のレッスンであっても、レッスン時間中、生徒様に最大限フランス語で話してもらうのが僕のレッスンの特徴です。



レッスンスタイル/

入門
/
まずは質問の仕方を知ることが、初級の人がフランス語でコミュニケーションをうまくとることが出来る様になる鍵だと思ってますので、質問をたくさんします。 基本的な質問の仕方をたくさん学習し、たくさんコミュニケーションをとりましょう!また、生徒様がしっかりと基礎を身に付けられるよう、発音矯正も同時に行います。
中級
/
学習した内容がしっかりと身についているか確認するため、質問を中心とした会話を通して、しっかりと語彙や文法の復習を行いましょう!
上級
/
このレベルでは、新聞記事やビデオ、オリジナル教材などを使って、フランスの文化に関する知識を強化し、加えて語学レベルもアップさせましょう。さらに、上級の発音も手に入れましょう!



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